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中村 中 (ナカムラ アタル ※正式表記は姓と名の間に半角スペース)

歌手・作詞作曲家・役者
1985年6月28日生まれ
東京都墨田区出身

2006年2月22日リリースの岩崎宏美のアルバム『Natural』で楽曲「友達の詩」が取り上げられ、ソングライターとして登場した後、21歳の誕生日である2006年6月28日には本人がシングル「汚れた下着」でメジャー・デビュー。8月11日~13日、朗読劇『Radiogenic リーディング・スペクタクル 優雅な秘密』、13日『Radiogenic リーディング・スペクタクル 特別公演苫小牧スペシャル 下町日和』にディーバ役で出演し、舞台俳優としてもデビューしている。
9月に愛情表現に対して臆病になってしまう繊細な心境を穏やかな表情で歌う「友達の詩」をリリースした後、性同一性障害(肉体的には男性だが精神的には女性)であることをカミングアウト。10月にはTVドラマ『私が私であるために』で性同一性障害を抱える役でドラマ出演したこともあり、大きな注目を集める。

2007年1月、1stアルバム『天までとどけ』をリリース。ジャジーな要素も含む昭和歌謡風の懐の深い音楽性は、デビュー・アルバムとは思えないほどの成熟味を感じさせるが、本作の収録曲を書いたのは10代半ばから二十歳にかけて。デビュー後の長期的な活動を前提に、“若さ”をコンセプトとして構成する発想からは、むしろ音楽家としての器の大きさと早熟ぶりがうかがえる。
 同年は2~3月にかけてロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に出演し、12月には二枚の先行シングル「リンゴ売り」と「裸電球」を軸に、一晩の時間の流れに沿って曲を収録した2ndアルバム『私を抱いて下さい』をリリース。劇的なまでに情念を叩き付ける「リンゴ売り」から穏やかな温もりに満ちた「裸電球」へと至る本作の流れは、前年のカミングアウトによって、あまりにも急激なメディアの注目を集めたことから中村が経験した精神的な葛藤を乗り越えるまでのプロセスの投影としても受け取ることができる。ドキュメント的な説得力と同時に楽曲で表現する緩急の起伏の大きさ、さらにそれをコンセプチュアルに提示するセルフ・プロデュース能力の高さを実証している。この年末には第58回 NHK紅白歌合戦に出場し、メイン・ストリームでの評価も実証した。
 さらに同じ12月には音楽劇『牡丹燈籠』のパリ公演、年明けて2008年1月にはその東京での凱旋公演と、この年は2枚のアルバムを発表したのに加え、演劇でも精力的な活動を展開し、2008年7月には朗読劇『LOVE LETTERS』にも出演している。

2009年2月にリリースした3rdアルバム『あしたは晴れますように』では、組曲形式になっている幕開けの「ちぎれ雲」と「台風警報」を含むアルバム前半の四曲のアレンジャーに根岸孝旨を起用。これまでになくロック色濃厚なアプローチを導入すると共に、楽曲中の演奏の展開やリズムのヴァリエーションの広がりなどで新境地を開拓した。同年後半には『ガス人間第1号』の舞台でヒロインを演じ、主題歌も担当している。

2010年9月にはavex traxからヤマハミュージックコミュニケーションズへの移籍第一弾となるアルバム『少年少女』を発表し、第52回 日本レコード大賞 優秀アルバム賞を受賞。前作でも起用した根岸孝旨とのコラボレーションを軸に構成し、プログレッシヴ・ロックやロック・オペラなどのエッセンスを盛り込むと同時に土屋昌巳のファンキーなリズム・ギターをフィーチャーした「独白」ではスポークン・ワード・スタイルのヴォーカルにも取り組んでいる。

 デビュー5周年にあたる2011年は、5月11日にベスト・アルバム『若気の至り』とセルフ・カヴァー・アルバム『二番煎じ』を同時リリース。後者は戸田恵子、スターダスト・レビュー、ジェロ、由紀さおりに提供した楽曲を根岸孝旨との共同アレンジでレコーディングしたもので、音作りでは根岸とのコラボによりスタンダードなポップス寄りのアプローチを行い、作詞作曲家としての振り幅の広さを改めて知らしめる作品となっている。7月には『ガス人間第1号』を演出した後藤ひろひとの作・演出による舞台『ニッポン無責任新世代』に出演し音楽も担当。この舞台は東日本大震災のためのチャリティ公演として上演された。またこの年は舞台『深説・八犬伝~村雨恋奇譚~』での劇伴も担当し、活動のワクの幅広さを知らしめている。

2012年に4月にはプロデューサーに笹路正徳を起用して1年7ヶ月ぶりのオリジナル・アルバム『聞こえる』をリリース。本作で掲げられた“脱力”というスローガンは、5周年を機に過去の作品を自分で聴き直した時に“力んでいる”と感じたことへの反省と“東日本大震災を経た日本が希望を見つけるためには何が必要か”と考えたところから浮かんできたものであった。そうした結果、本作で聞くことのできる彼女の歌には混乱した世相を癒すような穏やかな気配が漂っており、四つ打ちのダンサブルなプログラミングでアルバムを締め括る「闇のまん中」が、ひときわ斬新かつしなやかな印象を残す仕上がりとなっている。

2013年には五木寛之原作の舞台『教授 ~流行歌の時代を、独自の価値観で生きた歌好きの免疫学教授、そして、観念的な恋愛に己を捧げた助手~』で、音楽監督とピアノの弾き語りを担当。五木寛之の作詞とのコラボレーションにより「グッバイ・Love Song」「薄墨の桜」といった楽曲も生み出している。

2014年は朗読劇の参加、ライブ活動と多忙を極める。
6月4日シングル「幾歳月」を発売。9月3日は初のセルフプロデュースアルバム『世界のみかた』を発売。タロットカードからヒントを得たジャケットも話題となる。年末には中島みゆき「夜会」VOL.18「橋の下のアルカディア」への起用は大きな話題となる。

2015年には舞台『マーキュリー・ファー』舞台『ベター・ハーフ』など話題作への出演が続き、夏以降は新作の発表、ツアーが控えてる。

 このように中村は、音楽と演劇を両輪として多くの才能とインスピレーションを交わしあってきた。その対象はジャンルや世代を越境したあまりにも広い振り幅を持っているため、アーティストとしての全体像を一気に把握することは困難だが、クリエイターをはじめとする先鋭的な感性の持ち主の心を鷲掴みにしている。それは彼女の作品が一過性の流行で消費される類のものではなく、古典的な芸術作品が普遍的に持つ人間への洞察力を持っているからに他ならない。
 そのヴォーカルには、自らのアイデンティティを確立するための苦闘をきちんと経過した者ならではの決然とした宿命的ともいうべき説得力を宿している。

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